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執筆者の写真久美 永野

第75回 熊本県立天草支援学校 進路指導主事 根岸 小都恵さん

更新日:2023年5月17日

2022/8/8放送分

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1 所在地、運営方針などを教えてください。 本校は、知的障がいのある児生徒が通う特別支援学校です。

場所は天草市本町にありますが、令和4年4月から、教室不足解消のため、高等部のみ天草拓心高等学校の敷地内に移転しております。 よって、現在は天草市本町にあります小・中学部校舎と、天草拓心高等学校 にあります高等部校舎の2か所に校舎があります。


本校の校訓は「健康(元気で明るく)」「自立(自分のことは自分で)」「協力 (友だちと仲良く)」「勤労(楽しく働く)」です。

これらの校訓をもとに 学校教育目標を 「自分らしく 元気に 持てる力を精一杯発揮し 人と関わりながら 主体的に学び 生活する 児童生徒の育成」と設定しています。

本校はコミュニティスクールにも力を入れておりまして めざす学校像として「かがやく児童生徒」「かがやく学校」「かがやく地域」 地域とともにある学校としています。


2 特に力を入れているところ、セールスポイント 本校では児童生徒一人一人の発達段階や障がいの状態を踏まえながら教育活動を行っています。力を入れているところはたくさんあるのですが、今回は、校訓の中の「勤労」で特に力を入れている部分について、お話しします。

中学部と高等部では「作業学習」という授業があります。これは、作業活動を通して生徒の働く意欲を培い、将来の職業生活や社会自立に必要な事柄を総合的に学習するものです。 また、高等部では「産業現場等における実習(現場実習)」を年2回設定しています。


実習期間は基本的に2週間(土日を除く10日間)としています。長めに感じるかもしれませんが、実習先には生徒のことを理解していただき、また、生徒は仕事の内容や環境に慣れてもらううえで必要な期間だと思っています。そして、この実習を通して生徒の就職先を決めたり、障がい福祉サービスの利用に繋げたりしますので、高等部3年の現場実習は社会への移行期間(社会人0年生)だと思っています。

他には、本校高等部の教育活動や生徒のことについて地域の方に知っていただきたいと思い、7月に「事業所向け学校公開」を初めて実施しました。今後は地域への情報発信や啓発活動にも力を入れていきたいです。


3 今後について、中小企業への要望 本校は平成23年にキャリア教育研究発表会を行っています。その時に日本理化学工業株式会社という、黒板に文字を書くときに使うチョークを作っている会社で、当時の会長であった 大山泰弘 様に記念講演をしていただきました。


大山様の講演の中で、禅寺のお坊さんからの話として紹介のあったのですが、「人間の究極の幸せは『①人に愛されること、②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人から必要とされること』で、愛以外の3つは働くことでしか得られない」というものがありました。大山様はこの言葉を受けて障がい者の多数雇用を目指すことになったという話がありました。

私はこの言葉に感銘を受け、「障がいを持っている子どもたちは周りの大人が決めた場所で生活をしていくのではなく、地域の中で、自分で決めた場所で、それぞれに役割を果たしながら生活をしていくことが幸せではないか」と思うようになりました。

 現在、高等部の生徒の多くが「卒業後は自宅から通えるところで何らかの仕事をしながら生活したい」という願いを持っています。障がい福祉サービスを利用しながら「働く生活」をスタートする方がほとんどですが、先ほどの話のように、数は少ないですが、現場実習を通して企業に就職する生徒もいます。

地域の中で卒業生がさまざまな場所で活躍している姿を見ると、本校職員の励みになりますが、生徒にとっては希望になります。障がいを持っていても仕事の内容によっては働く力があることを知っていただきたいと思いますので、まずは高等部生徒の授業の様子を見学することができる「事業所向け学校公開」や作業製品販売会にご参加いただき、本校のことを知っていただきたいと思います。そして、現場実習の受け入れを通して障がい者雇用について前向きに検討していただければと思います。

他にも、天草地域における障がい者雇用について、天草地域就労支援ネットワークという会を定期的に開催しております。これは、熊本県天草障害者就業・生活支援センターを中心に、天草公共職業安定所、就労移行支援事業所(苓南寮・リンク)と本校進路指導主事で情報共有を行いながら、障がい者雇用の法定雇用率達成に向けても取り組んでいます。


天草での障がい者雇用については、身体障がいの方の雇用が多い現状がありますが、知的障がいの方や精神障がいの方の雇用についても、今後、増えていくことができるよう本校でも啓発活動を行っていきたいと思います。そして、障がい者手帳や診断がある方で、他の学校に通っている方や一般の方の障がい者雇用も期待したいと思います。

そして、熊本県中小企業家同友会にはダイバーシティー委員会がありまして、熊本県内の特別支援学校の進路指導主事と連携しています。今度、8月17日(水)には、「第4回 支援学校と経営者の懇談会」が開催予定で、私も申し込みをしています。


内容は、前半が企業及び支援学校の取組についての発表で、後半は実際に障がい者雇用をしている経営者の方や、今後、雇用を検討している経営者の方と支援学校の進路担当者で話をしていきます。経営者の方と、直接、話をすることで、雇用することにおけるメリットや、出てきた課題に対してどのようなアプローチが効果的なのかなど、とても学びが多い会となっています。冒頭で話しましたコミュニティスクールの説明の中で、天草支援学校が目指すのは「地域とともにある学校」です。


今後、障がい者雇用に向けて地元企業と学校が連携して取り組むことがあれば、検討していきたいと思いますので、その場合は学校の方へご連絡いただければと思います。


4 天草について思うこと 私は天草出身で、若いころは「天草から出たい」と思っていましたが、離れてみると天草の良さ(人や自然)を実感することが増え、子育てはぜひ天草でしたいと思って今の学校に戻ってきました。 現在は障がいを持っている子供たちが天草で幸せに生活するためには何ができるかを考え、行動しているところです。


【趣味特技など】 読書と窯元巡りです。 読書については、仕事に関連した本(例えば、特別支援教育や障がい者雇用、福祉サービス関連)を読むことが多いです。 窯元巡りはドライブも兼ねていろいろな窯元に行っています。素敵な食器を見つけたときはとても嬉しいです。


【座右の銘】


考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となる。


元イギリス首相のマーガレット・サッチャー氏の言葉です。 「分かっている、知っている」だけでなく、それをもとに行動できるかどうかが大切だと考えます。そして、行動の積み重ねが自分の生き方に繋がっていると思います。

進路に悩む生徒と個別で面談をすることがありますが、この言葉をかみ砕いて説明しながら、今の行動が将来の姿に繋がっているからこそ、今、何をしなければならないのかについて話し合います。


これは、自分自身にも同じことが言えますので、職場の自分の机にこの言葉を貼って、時々見ては、自分の言動を振り返っています。


楽しいお話、貴重な時間をありがとうございました!






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