top of page
執筆者の写真久美 永野

第65回 天草信用金庫 理事長 田中 豊浩さん

更新日:2023年5月15日

2022/5/30放送分

アーカイブはこちら




① 業種と業態、場所などを教えてください。 金融業務全般(信用金庫法に基づく)です。 当金庫は、銀行と同じく「預金」「融資」「為替」などの金融機関の基本業務を行っています。銀行は株式会社で、株主の利益が優先されますが、信用金庫は地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の地域金融機関です。利益第一主義ではなく、地域のお客様や事業者、地域社会全体の利益が優先されます。


さらに営業基盤は一定の地域に限定されており、預金としてお預かりした資金は、その地域の発展に融資として生かされている点も銀行と大きく異なります。

 当金庫は、法令により天草地域の2市1町を営業区域として定め、地域との「共存・共栄」を経営理念とし「中小企業の発展」「地域社会の繁栄」「住民生活の向上」の3つの経営ビジョンを掲げ、当金庫の存在価値(プレゼンス)を高め、地域社会全体に貢献していくこととしています。全国に信用金庫は254金庫あり、当金庫は店舗数11、パートを含め役職員数は150名と信用金庫の中では小規模ですが、地域の皆様のご支援・ご協力のもと、健全経営を念頭に毎期適正利益を確保し、令和4年3月末現在の自己資本比率は17.92%に上り高い水準にあります。

 また、当金庫は「鉛筆から必要なもの全て」を合言葉に、金庫で使用する物品やお客様への粗品は地元優先で購入・調達するなど、徹底した「地元優先の運営=地産地消」の取組みを実践しています。

 そして、金融業務のみならず、社会貢献活動を積極的に展開しています。地域で開催される各種イベント等への参画や協賛、セミナーや相談会の開催などです。


特にコロナ禍においては、飲食業や観光関連事業をはじめ多くの事業所において売上げ減少等経営に大きな影響を及ぼしていることを受け、「天草地域応援プロジェクト」として、役職員の昼食を飲食店からデリバリーにより調達する「フードデリバリーサポート」の実施(延べ252先から6千食以上)や、年金受給者の皆様へのサービスの一環として、地域の特撰品を1,500名様にプレゼントする「もらってうれしい!笑顔でつながる地域の特撰品」(コロナ禍以降2回)等を実施して地域事業所の売り上げ増加等に貢献する取組みも行っております。

② 自社の強み、セールポイント 当金庫は、法令により天草市・上天草市・苓北町の天草地域2市1町を事業区域と定めています。役職員の殆どが天草出身で地縁や人縁を大切にし、この天草で生活しています。


そのため、地域やお客様に最も密着した狭域高密度の事業活動を展開し、小まめにお客様を訪問するFaceToFaceによる営業スタイルを実践して地域やお客様とのリレーションシップに繋げるよう心掛けています。また、天草一円にフルバンクの営業店を11ヵ店配置し、高齢者の方も安心してご利用いただける、きめ細やかな金融サービスの提供に努めています。

 さらに、行政や地域関係機関と連携強化を図り地域事業所の課題解決支援にも力を入れ取組んでいます。特に事業者支援に特化した地域支援機関であるアマビズと協働し、起業・創業に関する支援や遠隔地である御所浦町や牛深町等において出張相談会を開催し、販路拡大や売上アップ、新商品開発などの課題解決に向けた伴走支援に取組んでいます。

③ 今後の事業展開、ビジョンなど 現在の地域経済はコロナやロシアのウクライナ侵攻等により、将来予測が難しい状況が続いています。このような時だからこそ、当金庫は地域やお客様とのリレーションシップをさらに追及し、この天草に根差した協同組織の地域金融機関として、地域やお客様が抱える課題の解決に尽力し、地域社会全体の成長に貢献していく必要があります。

 預金や融資などの金融仲介機能の発揮はもちろん、複雑化する地域社会にあって、お客様の悩みは金銭面に留まることなく、金融という機能だけでは、地域やお客様の成長を支えることは難しくなっています。特にコロナ禍以降は顕著に感じており、金融という枠組みを超えて広くお客様の課題解決に取組んで行く必要があると認識しています。

 特に事業者支援については、本来の「資金繰り支援」に加え、非金融面においても「販路開拓や商品のブラッシュアップ支援」「新分野展開(事業再構築)支援」といった本業支援により、徹底して地域事業者を支えて行きたいと思います。そのため金庫内に専門の事業者支援チームを立ち上げ、支援に必要な知識を高めるための研修会の実施や地域・業界等関係支援機関との定期的な会合により実効性を高めることとしています。

 また、当金庫の最大の経営資源は「人」であり、当金庫がお客様や地域の課題解決に取組むには、当金庫の職員の人材育成が必要不可欠であると認識のもと、地域に貢献できる信用金庫人の育成に取組んでいます。具体的には、女性活躍推進室を設置、管理職昇進意欲の向上やワーク・ライフ・バランスのサポート等女性が活躍できる体制を構築することとしています。さらに地域やお客様のサポートに必要な資格の取得や自己啓発への取組みを推奨するとともに、階層別の研修や成功事例を共有した実践研修を実施し、目利き力の向上による適切な事業性評価に努め、渉外力・本業支援力の強化を図ることとしています。

④ 天草について思うこと、 当地域も人口減少・少子高齢化の進行により特に生産年齢人口の割合が著しく低下し、従属人口指数も100%を超過しています。加えて後継者問題やコロナ禍による経営不振等により地域事業所の減少も危惧しております。当金庫は天草地域のみで事業活動を行っている地域との運命共同体で、当金庫の未来は地域とともにあります。如何にこの人口減少・事業所の減少幅を少なくするか、地域と当金庫が抱える重要な課題であると捉えています。幸いこの天草にはたくさんの宝があります。


変化にとんだ温暖な気候、3つ海に囲まれた海の幸をはじめとする全国に誇れる豊富な食材、世界に類を見ないキリシタン文化の歴史、イルカと共存できるほど豊かな自然、まだまだ上げるとキリがないくらいのポテンシャルを秘めていると思います。当金庫は従来からこの天草を業界のネットワーク等を通じて島外に発信するなど観光面のPR活動にも積極的に取組んでおり、今後はさらに進化させ、移住・定住の促進や地元出身者のUターン等の取組みにも積極的にかかわって行きたいと考えています。

あわせて、地域の産業を維持させていくためには、既存事業者の円滑な事業承継支援が必要であると認識しています。天草において年齢が60代以上の経営者のうち、25%程度の事業所が事業承継について考えておらず、多くの事業所で世代交代の準備が進んでいません。


 また、事業承継の意向はあるものの、後継者が決まっておらず、そのうち年齢60歳以上の経営者が半数程度を占めるなど、経営者の高齢化と後継者難によって、廃業せざるを得ない事業所も増加してくるものと思われます。全国における昨年度の廃業は6割が黒字廃業という現実もありますので、事業承継支援に取組む一方、次世代を担う人材、起業家の育成も重要であると認識しており、地域や当金庫の喫緊の課題として捉え、地域や業界関係機関と連携を強化し、様々な取組みを実行していく必要があるものと考えています。


個人的な趣味など スポーツ観賞。ジャンルは問わずスポーツ全般、特にご当地出身の選手が出ていると応援にも力が入ります。自身も体を動かすことが大好きで、高校時代ソフトボール部に所属していました。天草信用金庫に入庫してからは、野球部に所属し20年以上も選手・主将・監督として活動したことで、仕事以外でも地域や業界の様々な方とのコミュニケーションに繋がり今でも大切な財産だと思っています。今は空いた時間に軽いジョギングをしており、コロナが落ち着いたら市民ランナーとして地元のマラソン大会に参加したいと考えています。

 そして家庭菜園です。もともと実家が農家で今も農地を所有しており、少しばかり自家消費できる野菜を中心に栽培し、時々近所や職員にもおすそ分けしています。


【座右の銘】   

座右の銘ではありませんが、信条として「誠心誠意」と「まごころ」を日頃から大切にしています。

天草信用金庫は、地域やお客様の信用・信頼から成り立っています。

これからも「誠心誠意」と「まごころ」を役職員とともに心掛け、地域の皆様から選ばれるオンリーワンの地域金融機関を目指してまいります。


話の中では、田中理事長の天草に対する熱い思いを伺うことができました。




閲覧数:36回0件のコメント

Comentários


bottom of page